コラム

よくわかる心理学講座 vol.14~そもそも、なぜヒトには感情があるの?~

 「よくわかる心理学講座 vol.13」では、脳の中でどうやって感情が生まれるのかについてみていきました。ここでは、「そもそもなぜヒトには感情があるのか」という点についてみていきます。ヒトに感情が生まれたきっかけは、一言でいえば「脅威を知覚できる生き物のほうが長生きできるから」です。

原始的な5つの反応


 生き物の目的は、子孫を残すことです。そのためには、脅威をいち早く察知し、身を守ることができる個体が有利となります。脳は目や耳から入る脅威に関する情報を処理し、生存のための行動を身体にとらせることでヒトに迫る脅威を回避してきました。これが、原始的な感情の始まりと考えられます。主な原始的な感情には「怒り」「恐怖」「悲しみ」「嫌悪」「驚き」があります。

怒り

 相手に挑発的な態度をとられることなどが原因となって生じる感情です。戦意や敵意が芽生え、相手に対して攻撃的な態度をとることがあります。

恐怖

 自分よりも強い相手から危害を加えられそうになった場合に生じる感情です。脅威を避けるよう心と身体が準備を始めます。

悲しみ

 仲間やパートナーを失うことが原因となって生じる感情です。怒りなどの感情よりも長く続く特徴があり、物事に対して消極的になります。

嫌悪

 身体に悪いものや心に悪いものを見聞きした場合に生じる感情です。嫌悪の原因を避けるような行動をとります。

驚き

 予想外のできごとが原因となって生じる感情です。驚きの対象に注意が向き、次にどのような行動をとるかを決めるために多くの情報を集めようとします。

感情は脳内でどういうルートを行き交うの?


 感情が生まれた原因が「脅威を回避する」という点にあるのであれば、脳内で生じた感情はヒトに何かしらの行動をとらせる必要があります。
 ヒトの感情は、「意識」と「無意識」のいずれかのルートを通ってヒトに特定の行動をとらせます。出発点となるのは、いずれも「視床」と呼ばれる部位です。素早い行動が必要となる感情は「扁桃体」で処理され、無意識に迅速な行動をとらせます。これに対して、さほど素早い行動が必要とならない感情は「感覚野」で処理され、ヒトに意識を生じさせて特定の行動をとらせます。
 分かりやすくたとえると、前者が暴漢を前にしたときの反応で、後者がバスケットのシュートの練習をするときの反応です。前者は戦うか逃げるかの準備をするために無意識のうちに筋肉が収縮するのに対して、後者はジャンプの感覚やボールの押し具合などを意識的に記憶に留めようとする行動をとります。

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