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コミュ障(コミュニケーション障害)は病気?それとも性格?

 日常生活の中で、またはインターネットのように互いの顔がみえない場所では、誹謗中傷のひとつとして「コミュ障(コミュ症)」という言葉がしばしば行き交う。コミュ障は「コミュニケーション障害」の略称であり、疾患(病気)のひとつに含まれるが、現在では多くの場合に軽い意味合いで使用される傾向がある。

 現代社会においては、従来の対面でのコミュニケーションに加えてITの発展にともなうオンラインでのコミュニケーションの機会も多くなり、コミュニケーション能力はますます重視されつつある。企業が求める人材像のひとつとして「コミュニケーション能力が高い人材」が挙げられることもめずらしくない。

 それほど重要なコミュニケーション能力だが、その能力が欠如もしくは不足する疾患についてはあまり知られていないといえる。
 よってここでは、俗語としての「コミュ障」ではなく、医学的な観点からの「コミュニケーション障害」についてみていく。

主なコミュニケーション障害


 コミュニケーション障害は、言語・非言語、または視覚的概念の処理・理解に関する疾患(病気)である。具体的な症状は、言葉を話したり聞いたりする場面で現れる。主な症状には、「言語症」「語音症」「小児期発症流暢症(吃音(きつおん))」などがある。

言語症

 周囲の人たちの言葉が理解できない「受容性言語障害」や、自分を考えを言葉で伝えられない「表出性言語障害」などがある。また、その両方が現れる「受容・表出混合性言語障害」もある。生後1年6ヶ月までに2~3語しか覚えない場合や、親に笑い返したりしない場合には注意が必要となる。

語音症

 音を出して言葉を話すことが難しく、誤った発音をしてしまう症状がみられる。他人の言葉は理解できるにもかかわらず、自分が伝えたいことが伝えられないという特徴がある。小さな子どもであれば心配は不要だが、8歳を過ぎても正しく発音できない場合には注意が必要となる。

小児期発症流暢症(吃音)

 どもったりつっかえたりしながら話す傾向がみられる症状。同じ単語を繰り返したり、音を不自然に引き延ばすといった特徴がある。また、人前で話すことを避けたり、相手の気をそらすために咳払いや頭・身体を動かすなどして症状を隠そうとすることもある。

 上記の3つの症状とは別に、「社会的コミュニケーション症」という症状もある。主に、状況に応じた言葉づかいができない、あいさつなどができない、言葉以外のコミュニケーション(会話の順番を守るなど)といった特徴がみられる。

コミュニケーション障害の治療法

 主な治療法としては、言語の発達を助けるための環境を家庭で用意する家族療法や、言語聴覚士による言語聴覚療法などがある。コミュニケーション障害の原因は多岐にわたり、後天的なもの(=生まれた後に原因があるもの)もあれば先天的なもの(=生まれる前に原因があるもの)もあるため、一概に断定することはできない。症状の治療のためには早期の発見が重要のため、不安があれば病院などで診断してもらう必要がある。

 症状が軽度のものに関しては、医療機関にかかることなく自身の取り組みで緩和させることができるかもしれない。一般的に、コミュニケーション能力が不足していると考えられる場合には、相槌を打つことから始めると効果的だと考えられている。ひと口に相槌といっても種類はさまざまで、単純な相槌、反復する相槌、要約する相槌、共感する相槌など多様である。中でも、より相手から情報を引き出すための相槌(例:「なぜ○○なのか?」「どこの○○なのか?」「いつ○○なのか?」)が効果的といわれている。

「会話が苦手」程度ならコミュ障とはいえない

 日常生活で耳にすることの多い「コミュ障」。ひと口にコミュ障といっても程度には開きがある。会話の中で明確な支障が現れない限りは疾患(病気)と捉える必要はなく、「人と話すと緊張する」程度の認識で問題はないといえる。克服のためには、まずは上述した相槌をおこない、少しずつ返答の種類を増やしていくことが症状の改善の一歩となる。

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