コラム

脳科学雑記

 ここでは、脳科学に関するさまざまな豆知識を書き綴っていきます。

■『氏より育ち』か。


 ヒトの遺伝子の数は2万3,000個ほどで、そのうちの70%が脳をつくる作業に関与しているといわれています。これに対して、ヒトの脳は1,000億のニューロンと500兆のシナプスによって構成されています。ヒトの脳のネットワークは複雑すぎるがゆえに、ニューロン同士の接続をどのようなものにするかを生前に遺伝子で指示することはできません。そのため、ヒトの脳は生後(または胎内にいる間)の外部要因(=環境)の影響を強く受けて形成されるようになっています。

 脳の成長やニューロンの接続は、誕生後の乳児期・幼少期の経験によって得られた情報に基づいて行われます。したがって、子どもの時代をどう過ごすかが非常に重要になります。一卵性双生児を対象とした調査によると、一方が貧しい家庭で育ち、他方が中流家庭で育った場合には、知力の発達に大きな差があったことが分かっています。
 しかし、一方が中流家庭、他方が豊かな家庭で育った場合には、知力の発達に大きな差はみられませんでした。このことから、環境(育ち)が一定水準を下回る場合には遺伝子(氏)は本来の特徴を発現しづらく、環境が一定水準を上回る場合には本来の特徴を発現しやすいということが分かります。
 すなわち、ある程度までは『育ち(環境)』が重要で、それ以上は『氏(遺伝子)』が重要であるといえます。

 最新研究では、ヒトの知力は50%が遺伝子(氏)の要因で決定され、残りの50%が環境(育ち)の要因で決定されると考えられています。

■ヒトの脳の大きさは、『最大』ではない。


 大きいことで有名なヒトの脳。しかし実は、他の動物と比べると決して『最大』ではありません。
 大きさでみれば象のほうが大きく、全身の体重に占める割合では一部の鳥類のほうが大きいのです。また、賢さの基準のひとつとなるシワの数は、イルカやクジラのほうが多いのです。

 こう考えると、ヒトの賢さを裏付けるものを『これだ』と断言するのは、意外と難しいことなのかもしれません。

関連記事

  1. 脳とビジネス -戦略的マーケティングを考える-
  2. 脳の本質からみる社会形成
  3. 脳科学が学べる大学・大学院
  4. ピアノと英才教育の関連性について
  5. 【特集】宇宙・地球・生命・人類の誕生と起源、進化の137億年の歴…
  6. 【特別企画】人工知能(AI)投資ロボアドバイザーの運用実績を比較…
  7. 不倫と浮気の脳科学―男女の心理・思考メカニズムについて―
  8. 効果的な勉強法とは
PAGE TOP