コラム

よくわかる心理学講座 vol.16~アイデンティティ(個性)の発達段階~

 「ヒトの個性はどのようにして形成されていくのか」。そんな疑問を持ったことが一度はあるかもしれません。心理学者のエリク・エリクソンは、個性(アイデンティティ)がヒトを取り巻く環境との関わり方に影響を受けながら、8つの異なる段階を経て形成されていくとしています。

エリクソンの「アイデンティティの発達8段階」


 エリクソンによれば、ヒトは成長していく段階で、何かしらの心理的・社会的葛藤(危機)に苛まれることになります。それぞれの段階で葛藤や危機を乗り越えるためには、ヒトのとしての成長(「徳」の獲得)が必要となります。

①0歳~18ヶ月:基本的信頼 対 基本的不信

 乳児は自身を取り巻く環境、すなわち世界に対して不確かな思いを抱きます。この時期に適切に育てられることで、信頼が不信にとって代わります。この段階の成長に必要なのは、「希望」です。

②1歳~3歳:自律性 対 恥・疑惑

 自分の力で物事に取り組もうとする段階です。その一方で、失敗を恐れる段階でもあります。この段階の成長に必要なのは、「意志」です。

③3歳~6歳:自主性 対 罪悪感

 物事を自分の思い通りにしたいと考え、主張し始める段階です。同時に、それが親に認められないと罪悪感を抱くことにもなります。この段階の成長に必要なのは、「目的」です。

④6歳~12歳:勤勉性 対 劣等感

 自分の能力を同級生や友人と比較する段階です。ときには自分の力不足を感じることもあります。この段階の成長に必要なのは、「有能感」です。

⑤12歳~19歳:同一性 対 同一性の混乱

 自己意識の確立を求めて、さまざまな考え方や価値観を模索する段階です。この段階の成長に必要なのは、「忠誠」です。

⑥20歳~25歳:親密性 対 孤立

 初期の成人期には、自分にふさわしい相手を見つけることに夢中になります。孤立を恐れる段階でもあります。この段階の成長に必要なのは、「愛」です。

⑦26歳~64際:世代性 対 停滞

これまでよりも広い社会への貢献に関心を持つ段階です。それができないときには無力さを感じるようになります。この段階の成長に必要なのは、「世話」です。
 

⑧65歳~:統合 対 絶望

 これまでの人生を振り返る段階です。目標を達成できなかったと感じる場合、抑うつに襲われることもあります。この段階の成長に必要なのは、「英知」です。

どの段階が特に大切?


 一般的には、子どもは3歳までに自分の特質や能力、文化的・宗教的背景や関心に基づいて自分や周囲の環境に関して理解を深めていくと考えられています。これは、「三つ子の魂百まで」ということわざにも現れています。この時期に支えられた子どもは自信や自尊心が確立されて成長することになるため、その意味では1歳~3歳の段階は特に大切な段階といえます。

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