コラム

よくわかる心理学講座 vol.15~催眠療法・芸術療法・動物療法について~

 心の疾患(病気)の治療法にはいくつもの種類があります。大きく分けると、薬を使うものと使わないものに分類できます。薬を使う治療法は、高い効果が見込める反面、副作用の心配もあります。この点、薬を使わない治療法には副作用はありません。いくつかの例をあげると、催眠療法、芸術療法、動物療法などがあります。

3つの療法の特徴

催眠療法

 催眠療法は、クライアントがトランス状態のような深いリラックスに入ることで意識のはたらきを抑制し、意識下の心のはたらきと感受性を高めることで行う療法です。クライアントが深いリラックス状態に入ったあと、少しずつ脳の活動パターンが変化するように暗示をかけます。これにより、クライアントの知覚や思考プロセス、行動を変化させていきます。
 催眠療法は、過食や喫煙などを克服するために特に効果的といわれています。また、心の中で抑圧あるいは隠蔽された記憶を表面化させ、それに関わる問題や感情の解決を図ります。

芸術療法

 芸術療法は、言葉ではなく音楽や美術を通じて自己発見や自己表現、心の健康や幸せを実現する療法です。自分の感情や想い、感覚などを言葉で表現することが苦手な人に効果的です。美術を通じて行う美術療法では、芸術作品を創る上でコミュニケーションの活性化を図り、作品を完成させることでつらい自意識や自己批判を克服し、自己受容や自尊心を実現します。音楽を通じて行う音楽療法では、音楽によって脳内にある感覚回路を活性化させ、心身の健全化を図ります。音楽によって行動や感情に長期的な変化がもたらされ、抑うつや不安の症状が軽減されることもあります。また、気分を改善させるドーパミンなどの放出や、心拍数の低減などの効果もあります。(関連記事:「音楽は脳や心にどのような影響を与えるか。」)

動物療法(動物介在療法)

 動物介在療法は、動物との絆によってコミュニケーション能力や感情をコントロールする力や自立心を高め、孤独感や孤立感を和らげる治療法です。動物との交流によってオキシトシン(※親しみや信頼感を高めるホルモン)やエンドルフィン(※気分を改善させるホルモン)の働きを向上させます。また、動物との接し方を学ぶことで適切な行動や対人関係の能力が改善され、自尊心も高まります。怒りや物質乱用の集団療法では、動物がいることで参加者が心を開き、自己寛容や自分を振り返る機会が生まれることもあります。

どの療法が一番いいの?


 催眠療法や芸術療法、または動物療法は、そのいずれかが「最も効果的」というものではありません。それぞれの療法には、それぞれが効果を発揮する症状があります。そのため、どの療法が最も効果的であるについては、専門家に相談することが大切です。

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