コラム

よくわかる心理学講座 vol.8~「ゾーンに入る」ってどういうこと?~

 「ゾーンに入る」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。スポーツ漫画などではおなじみで、極度に集中して高いパフォーマンスを発揮するような状態を、一般的には「ゾーンに入る」といいます。ゾーン状態に入っているとき、脳の中では主に3つの変化が起きています。

ゾーン時に起きる脳内の変化

前頭前野のスイッチがオフになる

 ヒトの前頭前野は、主に理性をつかさどる働きをします。問題解決や自己批判などの高次の役割を果たす部位ですが、ゾーンに入るとこの部位の機能が低下します。

神経科学物質が放出される

 ゾーンに入ることで、さまざまな神経科学物質(脳内物質)が放出されます。たとえば、集中力や覚醒度を高める「ノルアドレナリン」や、痛みを和らげて気分を良くさせる「エンドルフィン」、さらには気分を安定させる「セロトニン」や目的を達成させる行動を促す「ドーパミン」などがあります。

心が静まる

 ゾーンに入ると、脳波にも変化が生じます。通常の覚醒時に現れているβ(ベータ)波よりも遅いα(アルファ)波やθ(シータ)波のような状態になります。β波は14~30Hz、α波は8~13Hz、θ波は4~7Hzで、周波数が高いほど覚醒状態も高くなります。ゾーン状態では脳の周波数が高くなることから、夢を見ているような状態になります。

どうやってゾーンに入るの?


 ゾーンに入るためには、いくつかの条件があります。たとえば、その活動そのものが大好きであることや、挑戦していることがある程度の難しさであること(ただし、難しすぎないこと)、さらには集中できる環境であることなどが挙げられます。ちなみに、ハンガリーの心理学者であるミハイ・チクセントミハイはゾーンに入ったときの状態を「フロー効果」と名付け、“活動に没頭するあまり、他のどんなことも重要だと感じなくなること”としています。このことからも、とにかく好きなことに集中することがゾーンに入るために必要であることが分かります。

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